合唱上手とカラオケ上手
セカンドテナー 山田敏彦
2007年末にフォックスに入団、今回で3回目の定演参加となります。入団のきっかけは、サラリーマン生活の最後のステージで病魔に襲われ茫然自失、身も心も萎えかけていた時、TV番組で肺機能強化・誤嚥防止には大声で歌って舌の筋肉を鍛えると効果があることを紹介していました。やるべきはこれだと思い、難病克服リハビリ目的でフォックスの門を叩きました。大久保ドクターの指導のもと、唇・舌・頬・顎・声帯・横隔膜はもとより全身を駆使した発声トレーニングは私のリハビリにとっても的を射たものであり予想以上の効果をもたらしています。
ところで、サラリーマン時代は歌を歌うと言えばもっぱら場末の飲み屋でカラオケというのが定番でした。兄弟仁義で喉を潰してドスを利かせ、天城越えで絶叫して燃えあがり、悲しい酒で嗚咽しながら声を絞り出すなどなど、時にコブシ、シャクリ、ビブラートを効かせて熱唱、酒の勢いもあり上々の出来だと自己満足する日々でした。
ところが合唱となるとそうはいきません。メロディーは勿論、リズム、ハーモニーの完成度が決め手になります。コブシ、シャクリ、ビブラートは禁じ手となります。しかしフォックスにはカラオケで鍛えた猛者も多く、音の出だしやアップダウンの激しい音の移動がある場合、カラオケ同様シャクリ移動でその音にたどり着くためリズムとハーモニーに影響を及ぼすことが多々あります。合唱の音出しはあくまでスパッとデジタルでなければならないのです。
発声法もかなり身についてきた頃、久し振りにカラオケに行き演歌や艶歌や怨歌を歌ってみるとなぜかどれも秋川雅史風になってしまうではありませんか。一瞬よぎった考えは、正しい発声法を学ぶとカラオケが下手に?しかしすぐにそうではないと気づきました。発声トレーニングのおかげで声量と音色の種類が増え箪笥の引出しが格段に増えたのです。ただ箪笥の整理整頓が出来ていなかったためその歌にミスマッチの引出しを使ってしまったのだと。
私はリハビリ目的で入団しましたが、もっと上手く歌いたいという欲も出てきました。FOXは気のおけない楽しい仲間の集まりです。入るなら今でしょ